2016年4月17日日曜日

統計的に勝てているチャンプの使い方 ~ Tank編その1

Tank

tankが強い理由は、脆弱な味方の代わりにダメージを引き受けることができるからです。単純化すると、自チームが与えたダメージが敵チームの全ヘルスを上回れば勝ちです。ただしADCのような高火力チャンプは打たれ弱いため、火力を出し切る前に死んでしまわない工夫が必要です。そこでダメージを引き受けるチャンプが活躍するわけです。いかに敵がダメージを出しても、堅いtankしか殴れていないのであれば、こちらが敵の後衛を叩くことで優位に立てます。

tankでも勝てる戦いもありますが、tankはダメージを出せる後衛がいるときにその真価を発揮します。そして、その後衛がスキルのCDが長いアサシンか、コンスタントにダメージをだせるADCかによって変わってきます。前者であればアサシンより一歩先にダイブできるtankが合いますし、後者であれば味方をpeelしやすいCCの多いチャンプが良いことになります。

またtankは、それ自体の性能が、集団戦における総ヘルスをどれだけ高く保てるかによって左右されます。回復する手段が多いチャンプや復活できるチャンプがより望ましいです。この点から、ナサス(Nasus)やレオナ(Leona)のようなチャンプがARAMでtankをすることに向いていないといえます。

それでは以上を踏まえてtankについて考えます。


サイオン(Sion)

勝率が最も高いのはSionでした。
サイオン(Sion)
その特徴は、

  1. passiveで上がるヘルスと、ヘルススケールのダメージスキル(堅くなりやすい
  2. 豊富なCC(打ち上げ・スタン・スロウ等)
  3. 死んだ後も戦闘可能(死後、敵からフォーカスされやすい
1により、tankyにするだけで強くなります。また、2により、一度敵に接近してしまえば、高い存在感を発揮できます。裏を返すと、容易に敵から離脱される構成では真価を発揮できません。敵の構成はランダムであることを踏まえると、pickの時点で味方にCCが多いとき、特に輝ける可能性が上がります。またSionは耐久性が高いため、ADC・APCとの相性は比較的良いほうです。

一方、敵にいる場合は接近されないことが最重要になります。この点は、距離を保ちコンスタントにダメージが出せるADCからすると、まだ対処しやすいといえます。また、Qのチャージや、死んだ後復活したときに暴れさせないで済むslowやCCの多い構成であるなら、スキルを使う対象にSionを検討します。Qさえ使わせなければ、存在感を最小にできます

さらにSionは、Sion対多数の戦いが不得意です。レンジスキルに欠けブリンクもないからです。Sionができる戦いと無理な戦いがわかれば、ARAMであれば、単独生き延びて、引いてタワーを守ることができます。この点、何が不得意かの理解はLoLにおいてとても大切です。

Sionの場合、敵のダメージがADでもAPでも対処しやすいほうです。なぜならヘルススケールにおいて極めて優れているからです。また、味方の構成がAD一辺倒でも斧を積むことでチームの妨げになりません。


ガリオ(Galio)

使いこなしてる人は少ないようですが、Galioも高いですね。

ガリオ(Galio)
その特徴は、

  1. MRを上げることにより火力が出る(APに対して堅くなりやすい
  2. 火力・拘束時間ともに強力な即発動ult(敵から注意を奪いやすい
  3. 回復できる(dotダメージに対するカウンター
Galioは、先の記事に書いた「得意な状況の時に極めて負けにくいチャンプ」の筆頭です。もし敵がAP構成なら、敵のダメージをほとんど軽症化して受け止めることができます。この時こそ、tankyにbuildする価値があります。また、GalioはAPダメージも出るほうなため、味方にAPチャンプが溢れていないときや、AoEに優れたチャンプがいるときに輝けます。十分な火力があるときは、敵の後衛をult含むワン・コンボで仕留めれるため、そのような状況の時はプレッシャーを活用して戦うことが大切です。つまり、タワーを攻めるときに、雪玉が投げれる位置やフラッシュの射程まで前にでることで、敵は下がることが予想されます。

一方、敵にいる場合は味方同士が近接したポジションをとらない & ADCは後方に控えることが最重要になります。どうあがいても、Galioはあらゆる手段をつかって飛び込んできます。そのとき被害を最小限にするためにこれらを徹底してください。ultさえ落とさせれば、ただの方向指定スキル持ちのAPチャンプです。ADが味方にいる構成であるほど、Galioの活躍の機会が減ります。

Galioが敵にいる場合、dotダメージの扱いに気を付けましょう。もし味方のマスタリーにDeathfire touchがないのであれば、ほかのチャンプにどれほど有効だったとしても、ライアンドリーの仮面 (Liandry's Torment)を積まないことを視野に入れるべきです。

Galioの場合、敵のダメージがADだったときult発動まで生き延びることすら難しくなります。よって私なら、サポート向きのアイテムを積んでtanky mageの役割をあきらめるか、APを積みまくって集団戦期待のワンコンチャンプに仕上げます。前者はよいADCがいるとき、後者は味方にAPが少ないときが目安です。この点で、GalioはAmumu(アムム)よりも幅を持たせやすいチャンプと言えるでしょう。

GalioはGalio対多数が比較的得意です。スキルの射程が長く、エンゲージしやすいのも利点です。継戦能力を高めるためにリーライ・クリスタルセプター (Rylai's Crystal Scepter)を積むのは良い判断です。EからQをあてやすくなるため、ブリンク持ちのチャンプにも対応しやすくなります。

アイテムビルドはいずれ記事にしますのでここではあまり触れません。


次回は、Nautilus(ノーチラス)とMaokai(マオカイ)について書く予定です。
Taric(タリック)はリメイクされるため省きます。

統計上有利なチャンプを使うことと、それをどのように使うかについて

色々とネタはあるのですが、先ほどNAのARAMでチームになったプレイヤーに指摘された内容(SionがARAMにて最強なんだぜ!)が面白かったため、これについて書くことにしました。

掴むと勝ちやすいと感じるチャンプが誰でもあると思います。特に何かこだわりがある場合、たとえばチーム構成次第ではAshe(アッシュ)の常時スロウが魅力的に感じることが私はあります。その成功体験が強烈だと、「Asheをまたやりたい!」「これを掴めば勝てる!」と思い込むこともあります。勝ちやすいチャンプはpokeに優れるチャンプか回復ができるチャンプだ、と感じたことはありませんか。私の場合はVarus(ヴァルス)やXerath(ゼラス)なんかがそうです。敵を寄せ付けずにpokeだけで勝てた試合はスッキリし、良い印象が残りやすいものです。

それでは統計上勝率の高いチャンプを見てみましょう、LOLKINGから閲覧できるデータによると、tankyで地味なチャンプが少なくありません。

ARAMでの勝率(全サーバ・全MMR、期間:2016/3/16~4/17)
一方的に攻撃できるpokeチャンプを除くと、ほぼ全てがtankとなっています。また、上位8チャンプの勝率は6割を超えています。Mundo含む15チャンプ目まででも勝率58%程度あり、たった1体のチャンプが勝敗に大きな影響を与えていることがわかります。

これは、Koreaを除くサーバで見られる傾向です。Koreaの場合は、上位15チャンプのうちtankが5、adcが5となっており、全サーバ平均の8 tank、2 adcと大きく異なる構成になっております。

ARAMでの勝率(Koreaサーバ・全MMR、期間:2016/3/16~4/17
Koreaサーバの実態はわかりませんが、このような差がみられるのは、韓国の競技レベルが高いためであることが予想されます。勝率上位のチャンプがゲーム中に選択される確率が全サーバ平均より高く、ARAMはランダムにチャンプが決められるため、厳選したうえでゲームを開始していると考えられます。また、平均的なプレイヤーのpingが良好であることもadcの勝率の高さに関係しているかもしれません。

さて、明らかに優位に勝てている上位15チャンプが、実際のゲーム中で勝てている印象があるかといえば、そうではないはずです。たとえば、Galioは使い方を知らないプレイヤーが貧相なultを放ったり、Maokaiがダメージださずに敵の真ん中で溶けていくことをよく目にします。Teemoもステルス看破を持たれてから空気になってしまうこともありますね。

直観通り、勝てるチャンプを使えば、無条件にその通りの確率で勝てるわけではありません。ARAMにおいて勝てるチャンプとは、得意な状況の時に極めて負けにくいチャンプです。そして味方の構成に合わないと強チャンプでも足手まといにすらなりえます。

前置きが長くなりましたが、次の記事から、全サーバ平均で勝率の高い15チャンプが効果的な使える状況/使えない状況について、私の理解していることを書いていきます。


2016年4月4日月曜日

ARAM、勝利のための原理原則 (自タワーを守ること)

ARAM、勝利のための原理原則 (敵タワーを攻めること、他)』では、敵のタワーを攻める際にどのような思考によって取り組むべきかを書きました。この記事を書く前に読み直してみましたが、内容に不備はないと私自身考えております。あの記事で書かなかったことは、多くが書く必要のない、重要でないことです。まずは書いてあることを理解するようにしてください。

タワーの攻め方について書いた後に続くべきは、やはりその裏面となるタワーの守り方です。


0.タワーについての意識を改める


タワーを攻める意識のあるプレイヤーは多くいますが、タワーを守ることになると途端に不十分なプレイを見せることもしばしばあります。これはSummoner's Riftでも同じです。例えばbotのタワーを取った直後にbotのタワーを取り返されるケースです。その場面では、不適切なタイミングでのリコールや目的のないグループがよく見られます。

私は以前から不思議に思い、タワーの放棄は気のゆるみからくるものだと考えていました。しかしさらに観察を続けると、どうやら違うようだと気が付きました。自タワーの価値を過小評価しているのです。おおよそのラインでいえばSRでPlat未満、ARAMでMMR 1900程度未満のプレイヤーはタワーを十分に防衛できていません

考えてみてください。

必死になって味方と連携してまで敵タワーを取るのであれば、自タワーの防衛も同じくらい価値があるはずです。それでは別の場所にミニオンがいたり、マナを惜しんだり、ジャングルを回ることに気を取られているせいで失われた自タワーは正当な失い方でしょうか。タワーの大切さに気が付けたプレイヤーは優先順位を誤りにくく、ゲーム内で守るべき要所への目線が定まります。SRも含め、LoLの上達の近道です。是非、意識してみてください。


1.タワー攻めに対する対処


モデルケースを考えましょう。まだ時間的に早いゲームであるなら、タワーを割るために必要となる手続きはわかりますか?これは以前の記事で書いたものです。
  1. 敵は、自タワーにミニオンを押し込み、
  2. 自タワーにAAをいれる
それでは、あなたがタワーを守るためにすべきことはなんでしょうか。

サモナースペルがある、スキルは使える状態にある、あと数秒でultがあがる……味方の状態は良い……それらは、状況毎に異なる、個別的なものです。

タワーの守り手として70点以上が約束されている判断は、敵が自タワーにAAを入れられないようにするために、敵ミニオンを自タワーに押し込ませない、つまり「ミニオンをキルする」ことです。脅威の芽を早期に摘んでしまえば、劣勢でも恐れることはないのです。


2.ミニオンをどのように処理するか


ミニオンを処理すべきことはわかりました。それではいつ、どのように処理しましょうか。
敵チャンプが優勢だからタワー下までひきつけて処理する、この考えは高い割合で次の2点から誤りです。
  • 敵ミニオンがタワー範囲内に入ってしまい、敵にAAのチャンスを与えている
  • 敵がハラスする際に、タワーのサイズ分、移動範囲の予測が容易になる


2-1.AAのチャンスを与えていることについて


前者は実感としてはそこまで深刻でないように思えるかもしれません。ただし、その考えは敵もAAを真剣にしようとするだけの判断ができていないだけです(注1。試合中可能なAAのチャンスを数えてみるのもいいでしょう。想像よりもはるかに早く、ファーストタワーを破壊できるはずです。

注1:極めて高いレートになると、集団戦もより精緻なものになり、ギリギリのヘルスで生き延びて敵を殲滅し、それからタワーを攻めることが頻繁にあります。また、レイトゲームになると、一回の集団戦の結果で試合も終わる恐れがあります。そのような状況では、このブログで書いているような、「軽度のハラスを無視してでもタワーを攻撃する」という考えは不適切で、もう少しハラスに対してシビアになる必要があります。

ここで、「敵がハラスを恐れていてAAができないのなら、タワーは守れているのでは?」という疑問がわきます。つまり、敵ミニオンが自タワーに押し付けられているが、敵よりこちらの構成が優れていることからタワーへと近づきたくない状況です。これは少しだけ正解ともいえます。敵がメレ―チャンプかつ堅くなりきれていないためタワーに近づきたくないときなどはそうです。ただ、このような時なら、「そもそもミニオンが自タワーの下に入る前に処理できるのでは?」という疑問もわきませんか?であるならミニオンの処理に早めに着手しましょう。タワーに損害が与えられる前に処理ができるのであればそうするに越したことはないのです。


2-2.行動予測がされやすくなることについて


これについては多くの他のブログでも書かれています。プッシュされている状況はそもそも、プッシュされる前に敵を対処できないだけの戦力差があるからです。そのような状況でミニオンが押し込まれた場合、あなたとチームメイトはタワーより後方に位置するはずです。

タワーより後方にいるときに、敵のレンジドミニオン付近にちょっかいを出そうとすると、大体タワーの横まで前に出てきているはずです。この位置にいるチャンプを、敵が咎めるのは非常に簡単です。敵から見て、「前に出てくればより仕留めやすく、横にかわすには幅がない、であるなら予測も簡単」なのです。

かくして、「戦力差があるからタワーまで引き付けて対処しよう」とする目論見は、実はより不利な状況を生むことになります。これが正当化されるのは、復活してきた味方がいれば攻防の主導権を一転するチャンスがあり、そのために自身の体力を温存する必要があるときです。これは『シーン1:タワーを巡る攻防』の「1.ゼラス(Xerath)」の節で書いた内容と考え方が似ていることに気が付いてください。実際のプレイの最中にはいちいちこんなことを考えていませんが、ARAMに慣れたプレイヤーが次の一手の利益を最大化しようとしないとき、背後にこのようなロジックがあるのです。(勿論、例外もありますし、目論見は失敗するかもしれません)


ミニオンは、タワーに押し付けられる前に対処したほうがいいことはここまでに書きました。それではどのタイミングで対処するのでしょうか。それは、双方のミニオンが衝突する地点か、あるいはやや自陣よりの地点です。根拠はスキルのCDと、実行の容易さです。

是非一度は考えてみてください。

2016年4月3日日曜日

シーン1:タワーを巡る攻防

スクリーンショットがないと寂しいので先ほどNAでプレイしたゲームを例に解説します。
この画像を表示し、状況を確認してください。


敵プレイヤーが2名死に、5v3の状況です。今見えない3人目の敵はカ=ジックス(Kha'Zix)で、雪玉は落ちており、敵タワー後ろの草むらにいるものとします。

敵タワーのヘルスはほぼなくなり、各人のAAが2,3発入る頃には折れるはずです。秒数にして3秒程度のため敵スキルがCDであれば無リスクで折ることができます。そして折れるタワーを守ることに意味がないため、ザイラ(Zyra)が下がっていますね。植物を設置して抵抗を試みた跡がありますが、あきらめたようです。ドクター・ムンド(Dr. Mundo)はタワーが折れた後に追撃するために前に出ている絵になります。ジリアン(Zilean)はMundoをカバーするために移動速度を上げるスキルを使っていますね。

このシーンではMundoが敵チャンピオンの攻撃を受けつつ追撃し、レンジドがタワーを破壊して終わりとなります。それでは敵タワーのヘルスだけ条件を変えて無傷とし、その他が同じだったらどのような攻防が予想されるでしょうか。つまり、「敵がタワーを守るよう行動する」ことが想定される状況です。

タワーの攻防において影響力が高いチャンプから優先的に考えていきましょう。


1.ゼラス(Xerath)

Xerath君の判断がとても大切だと、彼自身気が付いているだろうか……

もしあなたがタワーを攻めているレンジド達のどれかであれば、真っ先に警戒するのがXerathでしょう。スキルの大半がCDでなかった場合、アッシュ(Ashe)とヴァルス(Varus)はキルされる恐れがあります。したがってキルの観点に立てば、Xerathは①か②の攻撃を検討します。しかも①の方向に攻撃をするのであれば、移動は不要でありZileanにもダメージを与える機会があります。さて、あなたはどのように考えましたか?正解は②への攻撃です。ただし、この判断にはキルは一切関与しておりません。

Xerathが②の攻撃をする必要があるのは、そこにミニオンが密集しているからです。①と②を比較する前に、今、青サイドが押し付けたミニオンがタワーの攻撃に耐えれるかを考えましょう。計算は省略しますが、8回の攻撃に耐えます。

もし、Xerathが①の攻撃をしたのであれば、Q1発だけだった場合、メレーミニオン1体のヘルスの大半を奪います。つまりタワーがミニオンを殺しきるまでの攻撃回数が1回減り7回にります。他方、②の攻撃をしたのであれば、攻撃位置にもよりますが3~4回の攻撃を減らせ、最小で4回となります。つまり、タワーの攻撃範囲にミニオンがいる時間は半分になります。タワーを守るためには、どちらが望ましいでしょうか?

①の攻撃が正当化されるためには、
  1. AsheではなくVarusとZilianへ攻撃することに明確な価値があり
  2. 1によって、今後60秒程度の間に赤側タワーをより効果的に守れる
  3. もしくは、今後60秒程度の間に青側タワーをより効果的に攻めれる
必要があります。2と3にはかなりの不確実性が伴います。60秒と書いたのは、与えたダメージによる優位性が保たれるであろう時間と考えてください。このような不確実性の先にある利益を過大評価しないでください。多くの場合、確かな利益を積み重ねることが勝ちへとつながります。したがって結論は、Xerathはミニオン処理のためにスキルを使い、できればAsheにもダメージを与えることが望ましいでしょう。


2.ドクター・ムンド(Dr. Mundo)

ムンドー、どこにいたらいいかわからないぞー!?

メレーチャンプができることは限られています。多くの場合、スキルの射程も短く、タワー下で積極的に攻撃した際にはタワーからの攻撃を2発ほど受けることになります。かといって、レンジドよりも後方で待機していて良いわけではありません。それではどのポジションで、何をすればよいのでしょうか。Mundoがいる可能性のある位置にマルを置いてみました。これらのポジションの優劣や良い点悪い点などを考えてみてください。少し下に答えを書きます。

ARAMに限らず、タンク(Tank)の位置取りにはコツがいります。マークスマン(ADC)が安全な位置を第一に考えて高頻度でAAを入れていればよいのに対して、Tankは「味方へのダメージを引き受けること」、「スキルを適切なチャンプに当てること」「敵味方の状況を考えて押し引きをすること」等を前線でやらなければなりません。Tankはパッと見で良いTank悪いTankを見分け、適切なアドバイスをすることは難しいと私は考えています。求められる能力は多岐にわたるため、Tank慣れしていないプレイヤーはじっくり取り組む必要があります。

上の5箇所の立ち位置を適当に分けるならば、①・⑤と②・④、③の3種になると思います。タワー直下と、タワー奥、タワー手前ですね。そして良いポジションは、①②であると考えます。総合的に見て、この状況では①>②>>③≧④>>⑤ではないかと考えます。

①と⑤が同じタワー下であるのに対し、評価が大きく異なることに注目してください。⑤がなぜ低評価かわかりますか。ここはXerathの攻撃の延長線上となります。⑤のポジションをMundoがとることにより、Xerathの一回のスキルで当てれる対象が増え、が青サイドのミニオンを処理する判断を下すことが容易になります。このように、⑤のポジションは味方に迷惑をかける悪手です。

②と④の違いは何によってもたらされるでしょうか。この判断はMundoがどの敵を警戒しているかによって変わります。もしMundoが④のポジションを取ればZyraは容易に青レンジドにコンタクトできます。Zyraは死ぬでしょうが、うまくいけばVarusとミニオン数体をキルできます。つまり、赤サイドは効果的にタワーを守る機会が増えるのです。

Mundoは、②の位置に入ることに意味があります。ここに入るだけで脅威度の高いZyraはこのタワー攻めにおいて無力化されます。②の位置に入ってMundoの範囲ダメージが敵チャンプにかすることによるタワーのターゲットをもらうことは好ましいものではありません。ただ、この状況であればMundoのヘルスが高いため、Zyraのキルくらいならとれるかもしれません。ここで強調したいのは、タワー奥に入っても必ずしもアグレッシブである必要はない、ということです。

①と②との評価の差は、生存のしやすさと、タワーへのAAが可能であるか否かによってもたらされています。①は②よりも引きやすく、バランスが良いのです。

プレッシャーという点では、④のほうが③よりも良いように一見すると思えるかもしれません。③④側にMundoがいるとすれば、それはKha'Zixが危険であるからでしょう。Kha'Zixは雪玉が落ちていても、ultして接近すればAsheとVarusを仕留めるチャンスがあります。なのでMundoは警戒していることになります。

④の位置だと、Khaの飛び込みに対して、背後からコンタクトすることになります。Mundoは依然タワー下に位置し、障害物の配置から見てXerathのスタンを受ける可能性が高いです。つまり、警戒するにしても深く入りすぎなのです。

③の位置であれば、Khaが飛び込んだ時横からコンタクトする形になります。飛び込んだ時の距離は④よりもMundoに近い位置となるでしょう。すぐに行動を起こせますね。

また、③の位置は敵に引っ張りスキルがあったときに対応しやすい位置でもあります。多くの場合、③の位置に入っていればタンクは十分でしょう。



今回も長くなってしまったため、このシーンについては終わりにします。
2チャンプの例として挙げた状況は、ARAMでこれからも何度も再現されるはずです。


2016年4月2日土曜日

ARAM、勝利のための原理原則 (敵タワーを攻めること、他)


初めに投稿しようと考えた記事は、ARAMで勝つために根幹となる考え方についてです。ARAMではSRと異なりルールが簡素化されているため、SRでみられるような「グループもしくはスプリット」あるいは「タワーもしくはドラゴン」といった細かい判断の余地はなくなり、原理原則の実践レベルが試合結果に与える影響はより大きくなります。本記事で書いた内容が、率直に言ってARAMで勝つための全ての判断にかかわってきます。いずれも「当たり前のこと」と思われるでしょうが、初心者ほどその奥深さを理解していません。それでは、順を追って考えていきましょう。


1.ARAMの目的


ARAMの目的は何でしょうか。書くまでもなく「試合に勝利すること」です。特にソロの場合、プレイヤーに共通しているのは「勝利が目的にあること」です。プリメイドでプレイするときは楽しくやることが第一になることもありますが、それは例外であると考えるべきです。


2.ARAMでの勝利条件


では、どうすれば勝利となるのでしょうか。これには2つあります。

  • 敵ネクサスを破壊する
  • 敵がサレンダーを成立させる

これも当たり前ですが「敵ネクサスを破壊する」ことで勝てます。現にどのプレイヤーもそうしようとするでしょう。一方、「敵がサレンダーを成立させる」ためにこちらから働きかけれることはほとんどありません。したがって、ARAMは敵ネクサスを効果的に攻めた側に勝ち目があると言えるでしょう。

高い効果は、(1) 障害となる敵を排除するプレイ技術 と、(2) 敵ネクサスを攻めやすい状況作り からもたらされます。目に見える上達は前者で語られがちですが、個人への依存度が高く本ブログのテーマではありません。後者について話を進めます。


3.敵ネクサスを攻めることとは


ネクサスを破壊するためには、敵の全てのタワーを破壊しており、かつインヒビターも破壊されている必要があります。これも当たり前ですね。タワーもインヒビターも破壊されている状況は一人のバックドアで決着がつきかねません。反対に、タワーが残っているほど、次の戦闘での勝敗が試合そのものの勝敗に与える影響は小さくなります。つまり、敵タワーがどれだけ残されているかが勝利への距離を暗示していることになります。敵タワーを折ることが勝利のために本来必要な手続きなのです。

そんなのはわかってる、と思った方が大勢のはずです。チャンスがあったらミニオンもプッシュするし、ちゃんとAAもいれていると。

私見では、これが大方正しくできている人はMMRが1800以上あります。それに満たない人は、敵タワーを正しく折ろうとしていない可能性が極めて高いです。そして、敵タワーを正しく折れない人は、自タワーを正しく守ることができていない人でもあります。なぜならタワーをめぐる攻防は一体であり、片方だけ上手にできるものではないからです。それでは、敵タワーを折ることから考えていきます。


3-1.敵タワーを折ることとは


しつこくても基本的なことを繰り返します。これが重要だからです。敵タワーを折るために必ず必要になる手続きはわかりますか?

  • 敵タワーにミニオンを押し込む
  • 敵タワーにAAをいれる

ミニオンが敵タワー圏内にいる場合タワーの防御力が落ち、チャンプはタワーからターゲットされません。よって敵タワーにAAを入れるために最初に必要となる手続きは、敵タワーにミニオンを押し込むことです(ミニオンなしタワー攻めはありますが、基本的に例外です)。次にAAを敵タワーにいれます。近接攻撃では敵タワー下から手前に退避する時間がかかるため、レンジのあるチャンプでAAを入れることになります。

より詳細に書くと、敵タワー下に自ミニオンが入ったのであれば全てのレンジドチャンプはAAをタワーに入れる最良の方法を模索すべきです。そしてメレ―チャンプは自レンジドチャンプが敵タワーにAAを入れやすくするための最良のサポート方法を模索すべきです。図で示すのが一番ですが言葉で説明します。敵が全滅しているなら皆でタワーにAAをいれ、敵は健在だが重要なスキルがCDであれば危険度は低いと考えレンジドでタワーにAAを入れ、敵がこちらのレンジドにスキルをあててその後の戦闘で有利になろうとしているならその思惑を阻害できるポジションにメレーが入り、自メレーの阻害に必要なスキルがCDであればレンジドはタワーにAAを入れるほど深く攻め入るのを控えるのです。文章にするとややこしくなってしまいますね。それでも、わかれば簡単な話です。

ここまでに、敵チャンプを攻撃するオプションが一度も示されていないことに気が付きましたか。

ARAMにおいて、敵タワーを攻撃できるタイミングでのハラスは第一選択になりません。なぜなら、敵チャンプを攻撃してもタワーのヘルスは削られず、明らかな有利を蓄積することができないからです。さらに、敵が死ねば装備は強化されヘルスとマナは回復します。その他にも、敵にスキルをあてることによるタワーからの被弾、継続ダメージの攻撃判定による敵タワー下への再突入時の不利など、いくらでも挙げることができます。

タワーを破壊するために、今タワーにAAを入れるよりも有利となる事が想定されるため、あえてタワーにAAを入れずに敵をハラスするといった論理でなければいけません。そしてそのような状況は後に示す一例を除いて多くはありません。レンジドチャンプは、敵タワーへのAAを徹底する。MMR 1700以下の人はこのように理解してください。ここを起点に学習すれば、おのずとすべきこととそうでないことが分かってきます。

敵タワーにAAを入れるべきでない状況とは、その距離に自レンジドが近づくことにより、敵チャンプから少なくないダメージが蓄積される状況です。このような場合はタワーにAAを入れるのではなくタワーのターゲットをかわせる位置からのハラスを積極的に試みましょう。試みなければなりません。なぜなら、その間、敵による自ミニオンの処理が遅れ、敵タワーにダメージが蓄積されるからです。

そしてここで極めて重要なことがあります。もし、タワーに接近する際に避けられない敵のハラスのダメージを、反撃として試みる自チームのハラスダメージが上回るのであれば(さらに書くと、この戦闘により敵チャンプが死に、次の戦線復帰までにより多くのダメージを敵タワーが受けるようであれば)、敵はハラス目的で身を乗り出すことがリスクになります。この時、「敵がハラスできるように見えるにもかかわらず自レンジドがフリーにタワーを攻撃できる」状況となります。おそらく敵はメレーミニオン処理のために控えめにスキルを使うことがやっとでしょう。敵のダメージスキルはメレーミニオンに使用され、レンジドミニオンまで近づくことを恐れている。このような状況かそうでないか見極めれるようにしてください。そしてタワーにAAを入れてください。自スキルがCDでないことは大切です。これが敵チャンプを牽制していることを理解してください。


長くなってしまいましたのでここでいったん切ります。
敵タワーの折り方についてはまた別の機会に説明することになると思います。

次は自タワーを守ることについてです。

はじめに

League of LegendsのJPサーバーが立ち、Summoner's Riftを初めとした大量の情報に触れられるようになってきました。一方で、ゲームモードの一つであるARAMの情報は未だ不足しています。シーズン6のJPサーバーの比較的高いMMRでは、NAサーバーで感じられた共通認識としての戦略・局所的なチームワークが見られず、各人の腕力に頼ったプレイで勝ちをもぎ取る印象を受けました。それはそれで楽しい点もありますが、ARAM自体の理解を深めプレイスタイルを最適化することで、苦手なチャンプでも上手に勝利を掴むことができ、勝率は上がり、より高度な試合で遊ぶ機会を増やせます。ARAMで勝ちたいと思う人がいて、この人がやみくもに試合を重ねることなくスキルアップにつながるような情報を提供したい、そう思いこのブログを立ち上げました。 

現在、今国内にある情報の多くが、SRとの相違点(強チャンプ・戦略・サモナースペルの選択、等)について書いています。たとえば、サステインを高めるヒーラーはリコールして回復できないARAMにおいて強いことや、適切なタイミングで自殺を試みるべきであることなどです。それらは確かに、ARAMで勝つために必要な知識ではありますが、いつ・なにを・どのようにすることが効果的であるかや、また実際にその行動によって有利になったかを評価するためにはかなりの経験が必要です。しかしこの点について触れた記事は多くありません。ARAMで勝つためには、知識を増やすのではなく、戦略の理解を深め適切な判断をゲーム中に下せる必要があります。

本ブログでは、タイトルに冠した通りに「ARAMの勝ち方とその考え方」について書いていきます。筆者も、LoLが楽しいからプレイしているのは当然として、「ARAMにin queueした以上は、第一の目的は勝つこと」であり、その生態はガチ勢と呼ばれるものです。本質的にエンジョイ勢とは相容れない考えがあり、人によっては窮屈な記事に思えるかもしれません。その際は立場の違いを理解していただければ幸いです。

想定する読者は、SRのランクがSilver~Plat下位のARAMで勝ちたいプレイヤーです。経験から言って、SilverはARAM MMR 1700程度、Platなら 2000程度まではこのブログの内容を実践することで到達できるはずです。私の実力は、SRのMMRがDia、ARAM MMRがほぼ全チャンプ所持アカウントで平均2400を超えるくらいです。また私は操作スキルが低くレーンでは(元ADCメインなのに)CSがSliver程度であることもしばしばです。それを補う形でチームファイトや戦略についての理解は比較的まともではないかと考えています。また、実行に必要となるスキルも高くはないはずです。

最後に、このブログは娯楽目的で書いており、論理的な破綻がないことや筆者の立場が中立であることは保証できません。記事ごとに異なった主張をしていても「状況次第」ととらえていただくようお願いします。その上でコメントしていただけると助かります。